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未来工作BLOG

2019.05.08

信州Makersフェロー育成プログラム キックオフ合宿レポート

こんにちは。
未来工作ゼミのハカセ。よーだです。
10連休の初めに県立長野図書館「信州・学び創造ラボ」で行われたMakersフェロー育成プログラムを見学してきました。その時の様子をレポートしたいと思います。
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akersフェロー育成プログラムは、昨年度のデザインフェロー育成プログラムと同じく、2020 年度の小学校学習指導要領の全面実施に伴い必修となるプログラミング教育について、具体的な事例を現場の教員から生み出していくことを目指して実施されます。
4月27日-28日はキックオフ合宿でした。県内の小中学校の先生方が長野市に集まり、二日間でプログラミング教育が目指しているクリエイティブ学びについて手を動かして頭で考え、実際に体験しながらどの様に現場に導入していくのか。いけるのかを考えました。

1日目午前 プログラミング学習とは

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キックオフ合宿の最初は参加者の自己紹介から、実際にプログラミング教育で活用されているmicro:bitを使って、近くの人とじゃんけんし、勝ったほうが「火星に行くとしたら持っていくもの」を言うという不思議なルールで、会場内の他の参加者と交流しました。
ちょっと変わったユーモアのあるルールで回ることで、自然と会話が生まれて良い自己紹介になります。最初から教材を使ったアクティビティを体験してもらって雰囲気を感じてもらう意図もありました。
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自己紹介のあとは少し真面目に座学で、そもそも小中学校にまでプログラミング教育が必修となるのはどういう意図かという点をおさらいしました。
なぜ必要なのか。どのようなことを学ぶのか。教育要項の内容に沿いつつも、最終的には「失敗が前提の学習」「すぐに先生を超える子供が出てくる学習」「子供が舵を取り、共に学び会える学習」であるからオススメ!という結論に。
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座学のあとには参加者の皆さんにプログラミング学習に対して、期待すること、疑問、懸念点・不安点を付箋で壁に貼ってもらいました。
そもそもMakersフェロー育成プログラム自体、何をするのか書面でしか伝わっていなかった先生方です、プログラミング教育に対する抗議ということでまだまだ不安な点や疑問な点が多いようでした。
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最初の研修は「インタラクティブな物語をつくろう。」として、合宿を通して使っていくツールであるScratchに慣れる意味も含めて、キャラクターを登場させ色々な動きをさせたり、セリフを喋らせて見たりして物語を作ってみました。
ペアプログラミングという、二人で協力してプログラミングする方式で、相談しながら物語を作っていきます。一人で作るだけでは詰まってしまったり考え方も偏りがちですが、二人で作ることで自分にはないアイディアが飛び出てきて、プログラミングをする。というプレッシャーが緩和されたようでした。
狙いとしてはまさに、プログラミングって難しい。失敗したらどうしよう。とい思うことを減らして、試行錯誤を通して学んでいくことを体感してもらうのが目的の研修でした。

1日目午後 プログラミング学習を楽しむ

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昼食時間をはさみ午後は体を使ってプログラミング学習を体験してもらいました。
テーマを「○○な楽器をつくろう。」として会場に用意した様々なモノとプログラミングを使って楽器を作ってもらいました。
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制作には、未来工作ゼミとFabLab長野にて共同で開発しているツールである「Keyたっち」を使いました。「Keyたっち」は簡単に言うと、とある接点ととある接点に電気が流れるとPC上でキー入力が得られるツールです。
クリップ付きのリード線でアルミホイルなどをつないで接点を付けたり離したりすることでScratch上では「~キーが押されたとき」というイベントを起こすことができます。
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制作時間は短かったですが、参加者の先生方はチームごとにとても想像力を発揮していただき、いろいろな作品が完成しました。テーマを決めて工作をしてプログラミングで音を出す。音と言ってもドレミではなく猫の鳴き声やアラームなど作品によって変えることができます。
難しいコードを書くのではなく、自分たちのアイディアやユーモアをコンピュータを使って楽しみながら形にするという、本当の意味でのプログラミング的思考を体験してもらうのが目的でした。
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完成した作品は実に様々で、風鈴が揺れることで風鈴の音以外がなる楽器や、顔をモチーフにした喋る楽器。料理をテーマに塩コショウを魚にふりかけることで音がなる楽器など、参加者一人一人のアイディアが発揮されてどれ一つとして同じものはありませんでした。
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楽器作りを経て、なんとなく作ることを通して学ぶ事とそこにプログラミングが介在する理由、つまりすぐに試せたり、喋らせるなどのAIとの連携が簡単にできたりなど、アイディアを飛躍させる事ができるツールであることを体感してもらったあとは、Makersフェローとしてプログラミング教育をどの様に実践していくのか、ということをチームごとに考えました。
Makersフェロープログラムは1年弱続き、期間の中でプログラミング教育を実際の現場で試す「お試し授業」をしてそのせいかを発表する必要があります。ここで感じたことを実際の教室のどうやって落とし込むかは参加者の先生方の腕の見せ所でした。

2日目 お試し授業を考える

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二日目は会場をFabLab長野に移して行われました。
始まって最初のテーマは「火星に学校を建てよう!?」どういうことかと言うと、もし火星に学校を建てるとしたら?と考えてプログラミングとmicro:bitやKeyたっちのようなツールを使って必要そうなものを作り出すという内容でした。
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時間も少ない中でまたまた不思議なテーマを必死に考える先生方。FabLabにある道具や用意された素材を見ながらイメージを膨らませてもらいました。
実はこのテーマは、もし火星人がいたら?と言うような架空の想像もできますし、火星では実はとても強い砂嵐が吹く。と言うような科学的な見地からでは検知してアラームを鳴らす必要があるのでは?と言うような現実に即した発想もできるものです。想像から形にするという図画工作的なアプローチもできますし、実際の環境を調べて必要なものを考えるという理科的なアプローチもできます。
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実作にできた作品は、落ちてくる隕石を振動で検知してレーザーを発射する装置や、低重力で飛んでしまった校舎を上手く着地させる装置など、テーマと相まって非常に個性的なものとなりました。1日目でツールに対する抵抗感や不安がある程度取り払われた結果、どんなアイディアをどうやって形にするのか、失敗しながらチャレンジを繰り返す。という本質の部分に注力できていたように思います。
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二日目の午後はここまでで体験したことを整理して、チームごとにお試し授業のアイディアをねっていきます。体験したことの中で学びはどこにあったのか、何が良いと感じて不足を感じたところはどこか。合宿を通して繰り返しリフレクション(振り返り)を繰り返していましたが、先生方はそれらの時々で思ったことをどうやって自身の教室に持ち帰るかを議論されていました。

むすび

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二日間のキックオフ合宿は終わりましたが、Makersフェロー育成プログラムは年度を通して行われ、プログラムに参加した12名の先生が長野県の各地域でそれぞれの教室で実践を行い、発表するところまでで完結となります。
現実に来年度からはプログラミング学習が小学校に導入されることになりますが、なんのために行うのかという点でこのMakersフェロー育成プログラムはコーディングを教えるのではなく、想像力や応用する能力を身につけるために行うのだということが伝わったのではないかと感じました。
実際に参加された先生方も最初は「プログラミングを教えるのは大変そうだ」と感じされていたものが、”プログラミング”はただのツールとして、創造的な学習を行うために活用すればよいのだというマインドに変わっていったように思いました。
今後、各地域でどのようなお試し授業が行われるのかがとても楽しみです。

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