SHINSHU FILM CLUB

こどもたちの

信州映画塾

ひとりではつくれない。だから映画は面白い。

信州映画塾は、アソビズムの共育事業「未来工作ゼミ」の一環として2020年からはじまりました。子どもたちが、プロのクリエイターたちの教えを受けながら、脚本・監督・撮影・音声・照明・編集もすべて自分たちで手がけ、4日間をかけて映画をつくり上げます。

4日間で映画をつくる

集まるのは小学4年生から高校3年生までの20人。映画監督やアートディレクターが講師に、
アソビズムのクリエイターたちがADになって、子どもも大人も本気で映画づくりに取り組みます。
子どもたちは4日間、寝食をともにしながら、経験を積んだ年長者がリードして、
年少者の突飛なアイデアも盛り込みつつ、新しい物語を生み出します。

企画

10人ずつ2班に分かれ、その年のテーマに沿って、どんな物語にするか案を出し合います。大筋が決まったらスタッフの役割分担。プロデューサーや監督、脚本担当などの演出部門が映画の設計図となる台本を組み立てます。台本がまとまったら登場人物の配役。主人公から脇役まで全員が何かしらの役を演じます。ちなみにスタッフもキャストも原則として立候補制。手を挙げた人が役割を遂行します。

準備

カメラ・照明・音声担当の技術部門は、講師からレクチャーを受けながら機材の扱い方を覚えます。演出部門は、あらかじめADがピックアップしたロケ地の候補先から撮影場所を選定し、必要があれば撮影の申し入れをします。撮影シーンに合わせて大道具や小道具を作成し、衣装をそろえ、メイクの準備も進めます。発声やストレッチをしつつ、台本の読み合わせも行って、キャストとしても準備します。

撮影

撮影期間はおよそ2日間。限られた時間で約10シーンを撮り上げます。全員がスタッフとキャストを兼務しているため、時にはゾンビ姿のままカメラをかまえたり、白塗りのままライトを掲げたり。ドローンを駆使しての空撮や、合成映像のためのグリーンバック撮影も取り入れながら、必要なシーンを撮り重ねていきます。ロケ撮影では善光寺門前の店舗や空き家を借りることもあって、町の人の協力が欠かせません。

編集

撮影した映像を上映会に間に合うよう、夜を徹して編集するのは本来、講師陣の役割ですが、映画塾の回を重ねて経験者が増えるにつれ、編集作業に子どもたちが加わるようになりました。映像に合わせた音楽は、作曲家の先生につくってもらったり、こちらも経験を重ねた年長者がAIを駆使してつくり、映像に重ねるようにもなりました。編集と音入れの作業は、上映会開始の間際まで続きます。

上映

保護者のみなさん、撮影に協力してくれた人たちを招いて、いよいよ上映会の開催です。会場設営や広報も子どもたちが担当します。開催当初は、映画のオリジナルポスターはグラフィックデザイナーにイメージを伝えて作ってもらっていましたが、こちらも回を重ねるにつれ、子どもたちがみずから作るようになりました。2024年3月には長野市「千石劇場」で、2020年から制作された全8作品のプレミアム上映会が開催されました。

INSTRUCTOR

大手智之

Tomohisa Ote

映画塾塾長/ゲームクリエイター

1974年、群馬県高崎市生まれ。「得意を活かす」という理念のもと、2002年に株式会社アソビズムを設立。誰もが好きなことを仕事にできる社会の実現を目指し、創業当初から革新的なワークスタイルの構築に取り組む。2012年、子どもの教育環境を考える中で長野への移住を決意し、翌年にアソビズム長野ブランチを設立。子どもたちのクリエイティビティを育む場として「未来工作ゼミ」を立ち上げ、ものづくりの楽しさを伝える活動をスタート。2017年には創造的な学びの場「PLAY&CRAFT」をオープン。信州映画塾では、チームでの創作活動を通じて、子どもたちが想像力と協調性を育める環境づくりに尽力している。

下山 天

Ten Shimoyama

映画監督/映像作家

映画「イノセントワールド」(98)、
「SHINOBI」(05)、「キカイダーREBOOT」(14)、「L-エル-」(16)、「ブルーハーツが聴こえる」(17)の他、TVドラマ「金田一少年の事件簿」(日テレ)、ミュージックビデオではサザンオールスターズ・桑田佳祐・B’z・GACKT・湘南乃風など数多くのアーチストを手掛けている。近年ではNETFLIXオリジナルシリーズ「僕だけがいない街」が191カ国で配信されている。新作映画『アライブフーン/AliveHoon』は世界公開され、3カ国でTOP10入り。アメリカシカゴでは観客が選んだNo.1アジア映画に選出される。

TEN SHIMOYAMA Official Site

浦野康介

Kosuke Urano

アートディレクター/映像デザイナー

多摩美術大学グラフィックデザイン専攻卒、元NHK映像デザイン部デザイナー。局員時は「NHKスペシャル」「Eテレ子供番組」等数多くのTV番組のデザイン制作に携わる。独立後、NHK「大!天才てれびくん」、NHK「みんなのうた」「起業忍者イガ社長と秘書ガーコ」のアニメーション監督等、多数の映像制作に携わる。その他、グラフィックデザインやウェブサービスのディレクション、イラストレーション制作等々…。メディアや立場に拘らないスタイルで数多くのディレクション/アートディレクションワークに従事。

吉川 清之

Kiyoshi Yoshikawa

作曲家、編曲家

東京都出身。映画、ドラマの劇伴を数多く手掛ける映像音楽クリエーター、音楽プロデューサー。映画「キカイダーREBOOT」(14)、「L-エル-」(16)、「人生の約束」(15)、ドラマ「臨場」「遺留捜査」「特捜9」「僕だけがいない街」。映画・ドラマの他に「旭山動物園」「美ら海水族館」の映像も手掛けている。

中野 哲良/せんぜもん

Noriyoshi Nakano/Senzemon

民俗芸能家

東京都出身。中国、上海留学中に出会った農業+芸能の生活に感銘を受ける。帰国後、シュタイナー農法の研修といくつかの芸能集団を遍歴後、長野県に移り住む。地元のお百姓さんたちと「素人お楽しみ民俗集団 らくのう座」の指導をするかたわら、さまざまな芸能ユニットに参加。自ら主催する「中野哲良一人劇場」では、ジャンルにとらわれない無国籍な独自の世界で活動中。

これまでの作品

2024

大切なもの

トレンドウェザー

科学技術が進化し、ネットやSNSが強い力を持つようになった世界。服も例外ではなく主人公のりりかはファッションサイト「IB」で今日もトレンドを追っていた。ある日自分のコーデを「IB」へ投稿すると世間から大絶賛を得る。調子にのったりりかは翌日別のコーデを投稿するが今度は流行遅れと真逆の反応。トレンドに流され孤独を感じる中、最終的に彼女が選んだファッションとは…。

舞神命

超人気アイドルの舞神てるま。彼の前髪へのこだわりは人一倍強くヘアスタイリストを指名するほどであった。自身の人気ぶりに調子に乗っていたてるまだが、事務所の社長交代を機に「所属タレントの髪型をある特定の髪型にする」という通達が出てしまい自慢の前髪も封印されてしまう。前髪を失ったてるまはこの苦境を乗り越え、再びステージに舞い戻ることができるのだろうか。

2023

ヒーロー

ヒーローの方程式

人気特撮番組で主役を演じるそうせいと悪役のトム。ヒーロー役のそうせいは、じつは横暴でスタッフたちも気をつかい、トムは真面目だが肩身のせまい思いをしていた。ある日、そうせいはチンピラ仲間といつものように街を練り歩き、後輩に暴力を振るう。その姿を見たトムは、ある決意を胸に親友のさいちとともに、そうせいたちのアジトへ向かった。

自撮りギャルヒーロー

ハッピーでキュートなギャルヒーロー。彼女がスマホを手に自撮りをはじめれば、どんな怪人も敵わない。向かうところ敵なしのギャルヒーローを恨んでダークサイドに堕ちた元ヒーローも、有象無象のヒーローも、なぜか倒されたはずの怪人も、彼女のフリーダムなペースに巻き込まれて、気づけばギャル軍団の一員となり、ともに街を闊歩するのであった。

2022

思いやり

O.P.

犯罪のない世の中を実現するため「思いやりポイント制度」が導入された近未来の世界。思いやりは数値化されてコンピュータで管理され、ポイント数で優劣がつけられ、高ポイントの者が賞賛されるようになっていた。世の中には過剰な思いやりがあふれ、なかには大金を積んでポイントを買う者までいた。そんな上辺だけの思いやりに疑問を持ちはじめていた主人公まりは、遂にある決心をする。

思いやりの可否(コーヒー)

コーヒーを楽しみにカフェにやって来た探偵のさくらと助手。しかしマスターによると、配達されたはずのコーヒー豆がなくなっていたという。ほかのカフェでもコーヒー豆が盗まれているらしい。これは同様の事件なのか。手がかりは、店内に残されたサングラスと、怪しい人物を目撃したというカフェ店員の証言。マスターのコーヒーと、この街をこよなく愛するさくらたちは、早速捜査を開始するが…。

2021

こえる

アイスを愛す

猛暑の続く夏。日本製アイスの価格が異常に高騰していた。テレビニュースでは、闇バイヤーによる「パ◯コは2本のままなら100万を超える」との証言まで報じられている。内閣総理大臣はアイス問題担当大臣を任命して、この問題に対処しているが、原因とされる買い占めの実態はつかめないまま。アイス買い占めの黒幕はいったい誰なのか?!

映画撮影中
監督とざっくん

仲間とともに映画「ゾンビハザード」の撮影に取り組む優斗は、極度の怖がりで、監督でありながら映像チェックもままならない。そんな彼の前に、ざっくんと名乗る少年が現れる。新たなスタッフとして仲間にざっくんを紹介するが、みんなにざっくんは見えないらしい。果たして、ざっくんは何者か。 そして映画は無事、完成するのだろうか。

2020

つながる

ポイすて

夏の終わりの暑い日のこと。彩香は親友のももかと一緒にいつもの帰り道を歩いていた。ももかと別れた彩香は、飲み干したジュースの缶を捨てるゴミ箱が見つからず、ほんの出来心で道端にポイ捨てしてしまう。それを見つめる怪しげな人物。彼は無造作に捨てられた空き缶を悔しそうに握りしめるのだった。翌朝、彩香は違和感とともに目覚めるが…

100年りんご

あやねの母は、病にふせって余命わずかと宣告される。母を治療できるのは、森の中に住む医師だけ。しかし彼は、治療費として法外な金額を請求してくるという。そして、その森には、100年に一度だけ実のなるりんごの木があるという。金色に輝くりんごの実は、高額で売れるらしい。あやねは母を助けるため、弟二人とともに伝説のりんごを求めて森へ向かった。

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